ACORN徳の風プロジェクトでは、「環境のために実際に行動する」というテーマを掲げて実践してきた、多くの環境事業の一例をご紹介いたします。これも私たちの想いが、多くの人々の共感を得ることができた結果だと考えております。これからもより多くの実績を積み重ねてまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。
当社は考えました。真の循環型社会構築のためには、何が必要か。もちろん、定期的に大量の油を使用する各企業・事業所に対して、使用済みの油を回収するシステムを構築し、リサイクルをして回ることは大切です。しかし、それと同じくらい、一般のご家庭にも使用済み油は大切な資源であることを知っていただいたうえで、回収の対象にすることも大切なのではないでしょうか。
とはいえ、一般家庭から日々排出される油の量は、事業所に比べると少量で、家庭ごとに回収にまわるには効率が悪いため、事業化することは非常に困難なことです。だからと言って、一般家庭から排出される油も大切な資源であることに変わりはなく、何かいいアイデアはないか常に思案してきました。
そこで当社では、中国地方で展開するスーパーマーケット様と協力して、各店の店頭にて使用済み油の回収を開始しました。実は、ACORN徳の風プロジェクトが本社を置く広島県をはじめ、中国地方エリアは環境意識の高いエリアと言われており、中国地方にお住まいの環境意識の高い皆様ならきっとご協力いただけるとの想いからです。実際、この取り組みが認知されていくにつれ、お持ちいただける使用済み油の量は増加。現在でも行われており、多くの皆様からご好評をいただいております。
この結果、一般家庭から使用済み油を回収するシステム化に成功し、環境意識が個人レベルでも高まっていることが改めて示されました。
ACORN徳の風が推進する循環型社会構築プロジェクトはまだ始まったばかりではありますが、このような動きが国や世界レベルで起こって欲しいと願っています。
ACORN徳の風プロジェクトの廃食用油リサイクルという環境事業が、行政を動かしたケースもあります。広島市は、当社のプラントの見学をきっかけにして、地域に使用済み油の回収の呼びかけを行いました。そして、保育園にてご家庭で使用された使用済みの食用油を、所定の日に子供たちが登園の際に持ち寄るという方法で回収が始まったのです。
家庭レベルで排出される廃食用油を効率良く回収することで、一定のリサイクル量を確保することができます。さらに、廃食用油という実物を園児たちが自分の手で保育園に持って行くことにより、「なぜ油を持って行く必要があるのか」「集められた油はどうなるのか」という意識が生まれるのです。当社の環境事業が行政を巻き込んで、子供たちの実践的な環境教育・食育に貢献しているのです。
現在では、回収の日に廃食用油を持ち寄ることが当たり前の光景となっていますが、この取り組みがもっと大きく全国に広がることを願っています。
昨今注目を集めているエネルギー、それが廃食用油から製造されるバイオディーゼル(BDF)燃料です。バイオディーゼルは、自動車の燃料など、ガソリンに替わる次世代の理想的エネルギーとして注目されていますが、とはいえ、本格的な実用化に向けては、まだまだ多くの課題が残っています。
例えば、トンカツや天ぷらなどを調理する時に使用された廃食用油には、動物性の油脂が含まれています。よって、このまま自動車燃料として利用すると急激な温度変化によってバイオディーゼルそのものが固まってしまうこともあるのです。
こういった特性を踏まえ、まだまだ理想のエネルギーではありません。それでも、工業用の油への展開など真の実用化に向けた用途の研究と、課題となっている問題点の打開を目指し、理想のエネルギーへ近づけることを継続して行うことが大切だと、当社は考えています。
この研究の成果は実を結びつつあり、具体性を持ったビジネスへと展開しています。燃料については、国内外を含め、しっかりと販路を確保。さらなる販路拡大への努力も続けております。
近い将来、当社が開発・研究したリサイクル油が燃料のスタンダードの一つとしての位置を確立することを目指しています。